2025.03.17
病院と家の違い
日本在宅医療連合学会の認定医の資格を取ろうと書類作成し、申請しました。
急遽思い立ったので、短期間でまとめるのは大変でしたが、「在宅医療に対する私の考え」と「30症例の経過と考察」をまとめました。
30症例は、皆さん、思い出や考えるところのある方々だったので、少し編集もし、このブログで少しずつ掲載してみようと思います。
まず最初は、自宅で最後まで過ごしことの意味、病院との違いを教えて頂いた事例です。
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車修理工場を自営され、現在は息子さんが運営されていましたが、酸素を吸わないといけない状況(在宅酸素療法)になった後も、日中は工場で息子さんの仕事を見守りながら過ごされていました。
奥様がお菓子作りが好きで、訪問するといつもいい匂いがしていました。
周囲は町工場が多いところで、隣から作業の音が聞こえていましたが、ご本人には聞き慣れた日常の音だったと思います。
いよいよの状態となり12月31日大晦日の夕方、往診しました。
工場を通って自宅に入るびですが、なんと、工場ではバーベキュー準備が始まっていました!?
「親父(爺さん)が死にそうなのにマジか?」と思いましたが診療後に考えました。
毎年恒例の年越しバーベキュー。昨年まではご本人もここにいたはずです。皆のワイワイが聞こえるのは本人にとってもいいのではないか?入院だと「いつ呼ばれるか?」と家族はヒヤヒヤですが、ここなら酒飲みながら、紅白(テレビ)見ながらでもご本人を見守れます。
なんだか、人の包容力、おおらかさを知った気がしました。
これが「暮らし(生活)の中で逝く」ということなんだろうとも思いました。
入院ではモニターがたくさん付き、医療器械の音に囲まれ、一人ぼっち・・・
やっぱり家はいいなぁ~と思いました。
除夜の鐘が鳴り終わる頃、皆さんに見守られながら旅立たれました。
帰りにすぐそばの防波堤で海を眺めて帰りましたが、海の匂い、潮風、波の音、そんなものとも家は繋がった場所なんだなぁ~と思いました。