2010.11.13
プライマリケア学会
11月7日に大阪で開催されたプライマリケア学会に出席してきました。禁煙の勉強が主な目的でしたが、聴講した「もっと!「航空機内医療」について知ろう!」というセミナーが大変面白かったのでまずはご報告します。
飛行機が飛んでいる高度10000メートルは、外気圧0.25、気温-40-50度、湿度0%だそうで、一方、機内は、気圧0.8、気温24度、湿度10-20%に調整されているそうです。この0.8気圧の環境は、標高2000-2400mに相当するそうで、この環境では、酸素濃度が低下したり、体内ガスが膨張したりします。具体的には、肺や心臓が悪い方の低酸素血症による呼吸困難や心筋虚血(狭心症など)、体内ガス膨張による腹痛、中耳炎、副鼻腔炎、歯痛、低湿度による目や皮膚の乾燥、痰の粘調化などが起こります(ちなみに健康な方には代償機構が働きますので呼吸困難はおきません)。
急病人発生で一番多いのは失神らしいのですが、これは血管迷走神経反射によるものが多いのですが、長時間の座位、脱水(乾燥による脱水、おしっこに行きたくないから水分摂取をひかえる)、飲酒、これらが重なって、トイレの後や待ち時間でおきることが多いようです。また、地上のビール1本は、機内では2.5-3本分に相当するらしいので酔っぱらわないよう注意が必要です。
持病がある方の注意事項としては、定期服用されているお薬や緊急薬は、必ず座席のボックスに入れ、緊急時に手が届くようにしておくことが大切なようです。
また、よく「機内でドクターコールがあったときに貴方は応じますか?」というのがありますが、もし専門外であっても地上の医療スタッフと連絡がとれるサービスがあるらしいので心配はないようでした。
あまりこのようなことを聞く機会がないので、大変刺激的で勉強になりました。また、禁煙治療についても、禁煙しようとする人もそれを支援する我々もポジティブになれるノウハウを勉強してきましたので、今後の禁煙治療に活かしていきたいと思っています。