2011.06.27
第1回山口県重症喘息治療フォーラム
6月25日(土)に山口市湯田温泉のホテル松政で、「第1回山口県重症喘息治療フォーラム」が開催されました。
私は一般演題として、『高IgE血症を呈する難治性喘息症例に対してゾレア®を使用した1症例』という演題の発表をさせて頂きました。
喘息の原因のひとつはアレルギーです。このアレルギーに大きく関わっているのが『IgE』という抗体です。ゾレア®はこのIgEに直接働きかけてアレルギー反応を起こりにくくして、喘息症状の改善をはかる注射薬です。
画期的なお薬ではあるのですが、誰でも使用できるわけではなく、既存の治療をしっかりしても(つまり何種類の薬を使っても)、それでも中等症持続型相当以上の症状が続くひとが対象となります。
今回、このゾレア®を使用した方は、沢山の喘息薬に加え、経口ステロイドを使用しても夜は座って寝ないと苦しいほど喘息症状が強い方で、2週間毎の診察時には点滴も行っています。また、アレルギー反応も強い方で、ネコ、イヌ、ハムスター、スギ等、飼っておられたペット全てに強い反応が出ていました。
ここまで書くと、劇的に効きました~なんて結果を期待されると思いますが(僕も期待していたのですが)、残念ながら劇的には効きませんでした。でも、発作のときにも血中の酸素濃度(体の中に取り込まれる酸素の量)は以前より下がらなくなりました(発作の回数、程度はあまり変わりませんでした)。ただ、肺機能検査(いわゆる肺活量の検査)を見ると、ジワジワとよくなってきており、じっくり継続していくと体質改善効果のような形で表れてくるお薬なのかな?と思いました(もちろん点滴がいらなくなったとか、薬が減ったとか劇的に効く人もいるようです)。
ただ、いかんせんめちゃくちゃ高いお薬なんです(涙)。1回4万ぐらい(高っ!)。2週間に1回すると9万ぐらい。劇的に効いていればともかく、使っていればジワジワ効くかもしれないというだけで継続するには高すぎて、いったん中止中です。
重症の病気の方はただでさえ薬剤が多く、医療費負担が普段から多いので、このような新薬の恩恵が得やすい環境整備が必要と感じました。