2011.07.08
学校保健委員会
現在、菊川小学校と新南陽高校の学校医をさせて頂いております。
この時期、春の健診結果や体力測定の結果等を踏まえ、PTAの役員さんを交えて学校保健委員会が開かれます。
先日、それぞれの学校で学校保健委員会が開催され出席してまいりました。
菊川小学校では、最近の感染症動向と熱中症について報告と意見を述べさせて頂きました。
わが子が行っている学校でも問題になっているようですが、夏場の水筒携帯に、スポーツ飲料を許可するか?というのがあるようです。
個人的見解ですが、普通の学校生活ではお茶だけで熱中症対策は十分ではないかと思います(もちろん水だけでも十分かと)。ただ、炎天下での練習が続く運動会時期はあってもいいかな?とは思いますが、親の考え次第でしょうね。それよりも熱中症は、その日の体調が大きく影響します。睡眠不足、朝食ぬき、下痢や風邪症状、これらがあるときは要注意です。スポーツ飲料を許可するかどうか以前に、睡眠不足や朝食ぬきの悪い生活習慣をしっかり是正することが大切かと思います。
新南陽高校では、生徒会の保健委員の学生さんから、麻疹風疹ワクチンの接種状況や学生のワクチンに関する理解度などについて発表があり、私は学生さんからの質問に答える形でワクチンについて述べさせて頂きました。
現時点では第4期(3年生)の接種状況は30%程度。例年、最終的には70~80%ぐらいにはなりますが、まだまだのようです。今の学生さんは1回しか接種していない世代で、1回も接種していなかったり、免疫力が低下している可能性があります。日本は他の先進国に比べ麻疹がまだまだ多く、麻疹輸出国という汚名も頂戴しています。
麻疹は非常に伝染力が強い病気です。「基本再生産数(全員が免疫をもっていないと仮定して、ひとりの患者が何人にうつすか?という指数)」は12~18です!インフルエンザが3程度ですから5~6倍です。
ワクチンの効果は95%以上です。2回受けることでより効果があがります。
ワクチンの副作用がとかくクローズアップされがちですが、ワクチンによる脳炎は、100~150万回接種に1例程度と言われており、麻疹による脳炎発症頻度1000例に1例に比べれば、1/1000程度です。脳炎にかかると15%が死亡し、死亡しなくても20~40%に重症な後遺症が残ると言われているので、接種の意義は明白です。
進学前、社会に出る前にしっかり接種して頂きたいと思います。
春の耳鼻科健診では、「耳垢」と診断された学生が8名いたそうです。この「耳垢」はちょっとの耳垢ではなく、「これじゃあ授業が聞こえないんじゃない?」というレベルのようです。この学生たちのように、何年耳掃除していないんだ?と言いたくなるほど掃除しすぎないのも問題のようですが、しすぎるのも問題なようです。耳鼻科の先生がおっしゃるには「月1回で十分」だそうです。
うちの妻は暇さえあれば耳掃除。リビングやキッチンのあちこちに耳かきが転がっています。そんなにやってたら出てくるもんも出てこないだろうというんですけどね・・・(笑)