2012.05.16
『世界高血圧デー』
5月17日は『世界高血圧デ―』だそうです。
それに伴い『塩を減らそうプロジェクト』の新聞広告がありました。
(http://www.shio-herasou.com/)
現在、日本人の1日の食塩平均摂取量は約11gと言われており、減塩目標は6g未満と言われています。
私が小さい頃の昭和40年代は平均17gぐらい摂取していたと言われます。この頃は今のようによい降圧剤がない時代ですので、高血圧による脳出血が多かったと言います。
その後、減塩が叫ばれるになり、色んな種類の降圧剤が使えるようになって今では脳出血は減っていますが、逆に飽食、食の欧米化を反映し、脳梗塞が増えているのが現在です。
話が横道にそれました。
そもそも食塩と血圧は密接な関係があります。
理由は太古にさかのぼります。人類がはるか前。生物が海の中から陸上に生活の場を変える際に、海水にたっぷりあった塩分は陸上にはほとんどありませんので、ちょっぴりの塩分を体の中に蓄えておく仕組みが必要でした。これが『レニン-アンギオテンシン系』というホルモンです。これはちょっぴりの塩分を蓄えるに優れた仕組みですが、今のように塩分過剰ですと悪玉に代わって血圧を上げるホルモンに様変わりしてしまうようです。つまり貧乏時代はとってもいい人だった正直じいさんが、金持ちになって人が変わるというよくある話に似ています(笑)。
ですから、今でも塩を使う習慣のない原住民の人々は年をとっても血圧は上がらないと言います。
またまた横道にそれました。道草ばかりしていた小学校時代を思い出します(笑)
と、言うわけで高血圧は塩分過剰が主な理由となります。
メタボも原因になりますが、食べる量が多ければ当然入って来る塩分も多いわけで・・・
当院でも高血圧で来院される多くの方が、塩分過剰が原因と思われます。
「私は気をつけています!」「控えています!」と無実を主張するように言われる方(笑)もおられますが、
それまでの蓄積や人それぞれの体質も影響するんだと思います。
じゃあ塩分を減らすにはどうしたらよいか?
ポイントは
① 漬物、佃煮など塩分の多いものを食べる習慣をひかえる。
② 塩分の総量をひかえる。
③ 野菜をしっかりとる。
です。①については毎食漬物を食べているって人がよくいます。毎食習慣で食べるとそれだけで漬物分(+醤油?)の塩分が上乗せになります。ときに食べるのはいいですが習慣にするのは気をつけましょう。②は、醤油を減塩のものにしたり、食事全体の塩加減の調節は当然のことですが、食事の量が多い人は含まれている塩分が少なくても、たくさん食べれば入ってくる塩分も多くなりますから、ダイエットの意味も含め重要です。③は、野菜のカリウムが塩分を排泄してくれると言われています。ただ、ドレッシングのかけすぎには注意が必要です。
それでも血圧が高い場合はお薬も上手に利用しましょう。
高いままでは血管の動脈硬化が進んだり、臓器の障害がおきてしまいます。心臓は1日に約10万回打つと言われます。血圧が160mmHgの人の場合、120mmHgの人に比べると40mmHgの圧力が毎日約10万回、血管に負担となってのしかかります(血管へのパンチですね)。それが1年、そして10年となれば・・・結果が大きく変わってくるわけです。
よく「一生飲まないといけないのでは?」と言われます。よくなればやめれます。ただ、そうなった(高血圧になった)生活習慣などの原因が改善されなければ下がる理由はありません。降圧剤を3種類服用しても目標値に達しない人を「治療抵抗性高血圧」と言います。このような方は減塩や減量ができていない方が多いようです。降圧剤には『降圧利尿剤』と言って、体から塩分を抜いて血圧を下げるお薬もあります。塩分過剰な人にはよく効きますが、減塩をすれば不要とも言えます。
血圧が高い方はまずご自分の食塩摂取量を見直してみましょう!