元気スイッチ

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院長日記

2013.07.13

『日本ホスピス・在宅ケア研究会』に行ってきました

久しぶりぶりの更新です。

長崎で開催された『日本ホスピス・在宅ケア研究会』に行って参りました。この会のサブタイトル『そいでよかさ、長崎~あるがままに生きるための地域連携ネットワーク~』とあるように、大変活気に溢れ、アットホームな会でした。

「長崎ブリックホール」にて

ご存知のように10年後にベビーブーム世代が前期高齢者となり、高齢者人口が3,500万に達すると言われ(『2025年問題』)、日本は未曽有の高齢者社会を迎えます。現在、病院で死亡される方が9割近くいるそうですが(1950年代は真逆)、10年後もそのような状態だと大変!とばかり、現在、亡くなる場所を何とか在宅へ持っていこうと厚労省も対策をとっているところです。

周南市の開業医の中には、往診や訪問診療をされているところは沢山ありますが、それぞれが個々でやっているために十分な体制がないのが現状です。そこで、徳山医師会でも在宅ネットワークを作り、患者さんに安心して自宅で療養してもらえる体制、我々も自信を持って自宅療養をサポートできる体制を作ろうとしています。長崎にはすでに『長崎在宅Dr.ネット』なるものがあり、全国でも注目を浴びています。今回私もそのあたりをしっかり勉強したく出席してきた次第です。

色々聞いた講演の中で感銘を受けた柏木哲夫先生の『緩和ケアのこころ-支えること、寄りそうこと-』の内容をご紹介します。

がんの病期と基本的態度。がんの治療期は「励ます」、再発・進行がん期は「支える」、末期は「寄り添う」という概念が必要になります。「支える」と「寄り添う」は違います。「支える」には、下から(下支えとも言いますね)、支えないと落ちるというイメージがあります。「寄り添う」は、横から、寄り添えば進むというイメージです。「励ます」と「寄り添う」も違います。「励ます」は、人を外から動かそうとする(内に入る必要がない)、自分はあまり関与しなくていい、上からといったイメージがあります。「寄り添う」は、逃げ出さず空間を共有する(Not doing,but beingという有名な言葉があるそうです)、参加する、横からというイメージがあるそうです。実際に、震災で自宅の瓦礫を涙ながらに一生懸命片付けていたご夫婦が、バスでやってきたボランティアの人から「頑張って下さい!」とバスから声をかけられ大変立腹されたという話があるそうです。それはまさしく「励まし」であり、「寄り添い」ではなかったからなんですね。大切なのは寄り添い、共感し、一緒に片付けることなんですね。私も在宅医療をするようになってご自宅でお看取りをさせて頂くことも増えてきました。本当にそのように感じますし、基本的精神がわかり大変勉強になりました。また、最後に柏木先生が言われていたこと。「ユーモア」という言葉があります。ラテン語で「体液」を意味する言葉だそうです。「生きていくためにはユーモアが必要」と、本当にユーモアを交え、心温まるご講演で大変感銘を受けました。柏木先生は著書も沢山ございます。ご講演を聴く機会があれば是非!

とまあ、今回は珍しく最後までびっちり勉強してきました。今回改めて、在宅医療には多業種の連携、協働が必要不可欠なこと、そして在宅医療はめちゃ楽しい!ということを思いました。様々な業種の方々と連携し、安心して自宅で過ごせるネットワーク構築に頑張ろうと思っています。