2017.01.30
COPDトータルマネジメント研究会で発表させて頂きました
『山口COPDトータルマネジメント研究会』にて基調講演①を担当させて頂きました。
「基調講演」と言えば聞こえがいいですが、ご高名な先生のお話しの前の前座です。
「COPD」とは「慢性閉塞性肺疾患」のことで、主な原因は喫煙(タバコ)になりますが、その有毒ガスを吸い続けることで、肺組織が傷害(崩壊)し、一般的には「肺気腫」といった肺がスカスカ(穴ぼこだらけ)になります(イメージは下のヘチマの写真)。
それがさらに進行すると吸った空気が吐き出しにくくなるため、吐き出せない空気が段々溜まってきます(肺の過膨張)。
この吐き出しにくくなった状態が基準以上となると「COPD」と診断されます。
正確には精いっぱい吸った空気を一気に勢いよく全て吐き出そうとしたときの、1秒間にどの程度吐き出せるか?で判断し、70%を切ると「COPD」となります。
話はそれますが、重症な人は吐き出せない空気がとても溜まって肺が目いっぱい過膨張していますから、正常な人が息を一杯吸って、そこから更に息を吸おうとすると、無意識にアゴをしゃくるような動きが出ると思いますが(正確には胸鎖乳突筋という首の筋肉を使う)、そうやって息をせざるを得なくなってしまいます。
溺れそうな人がアップアップする感じです。
通常の呼吸は、特に安静時では「腹式呼吸」と言って横隔膜を下げることで肺の中の容積を増やし、その中の風船である肺を膨らませます。
もうひとつは「胸式呼吸」で、肋骨を背骨を基点として上に持ち上げることで、肺の容積を増やして肺を膨らませます。
自分で深呼吸するとわかりますが、胸が持ち上がる感じになると思います(それが肋骨が持ち上がった感じ)。
そこから息を吸おうとすると、よく「筋張った首」なんて言うところの前頚部の筋肉(これが胸鎖乳突筋)が収縮するのがわかると思います。
正常な人の安静呼吸ではこんなところは使いません(収縮しません)が、わかりやすい話だと、先ほどの深呼吸時や走った後の「肩で息する」ってやつです。
腹式、胸式やっても空気が足りないので、肩も使う・・・その肩を持ち上げようとしている筋肉が胸鎖乳突筋なのです。
安静時にそんな呼吸に(正常な人が走った後の状態!)なっているようでは、坂道や少し走っただけでも息が切れるわけです。
身近でタバコを吸ってて、とくに年も取ってきてて、安静時に鎖骨の上が凹んでたり、首の筋肉が動いているようだとまずい!です。
さて、思いっきり話がそれましたが、その研究会で、開業医の立場で「COPDと心疾患を同時管理する上で知っておきたいこと 総論編」としてお話をさせて頂きました。
昨今、COPDは単なる肺だけの病気ではなく、タバコによる有毒ガスを長く吸うことで様々な病気を併存(合併)する、全身性炎症性疾患と考え、治療していかないといけないと言われています。とくに、私の専門である循環器系(心臓)疾患との関係は重要とされています。
なぜかというと、COPDがあると心臓病の危険がグッと増えますし、COPDがあると特に心臓疾患の予後(寿命)が悪くなるからです。
我ながら内容がなく、お恥ずかしい限りでしたが、苦手な発表を終え、今は放心状態です(苦手故、発表前1ヶ月は他が何も手がつかなくなるし、とくに1週間前はトランス状態となってしまいます 情けない・・・)。
今までは苦手でもお声をかけて頂けるだけありがたく、個人的には大変勉強になるので、前向きに受けるようにしていましたが、最近は命を削ってる感が強くなってきたので、今年50歳ですので、そろそろ・・・と考えているところです。
でも、お声をかけて頂いた松永先生、國近先生、千治松先生、本当にありがとうございました。
恥ずかしい・・・
瑞々しいヘチマが・・・