元気スイッチ

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院長日記

2020.05.23

やっていたようでザルだったインフル感染対策から新型コロナ感染対策を考える

周南市では来週(25日)から小・中学校の授業が再開されるようです。それに伴い、学校医をしている小学校からも相談があり、ふと気づいたことがあります。
何かと言うと、今までのインフルエンザに対する予防策、インフルエンザが流行していた昨シーズンまでの状況を、新型コロナに求められる予防策に照らし合わせて考えてみると、どこがダメで感染し、感染が拡がっていたのか?が見えてくるし、今はただ漠然と巨大な恐怖に怯えていると思いますが、ポイントを押さえればそこそこ戦え、発生しても最小限に抑えられそうな気がしてくると思います。

★ちょっとの体調不良では我慢して学校に行っていた★
これ、結構大きかったと思います。休まないのが美徳とされていたし、中学・高校では内申書にも影響するため、皆さん、結構隠してたり、我慢していたと思います。学校の先生が、これやって、生徒に拡げてることも多々ありました(生徒の目の前で大声で話、咳すればそりゃうつりますよね)。これからは登校(出勤)前に体温測り、体調チェックし、無理せず休むことが徹底されれば、発症した人が学校で拡げるということはかなり防げると思います(ただし、新型コロナは発症2日前から感染力があるので、ゼロにはできそうにないですが)。また、登校してから体調が悪くなる生徒・先生もいると思います。その場合は速やかに伝え、休むことができる環境が大切と思います。生徒は言いにくいと思うので、中休み、昼休みなどのタイミングで、「体調悪くなってきた人いませんか?」と確認することも必要と思います。

★手洗いとマスクの習慣が甘かった★
インフルのときはうがいが大切と言ってて、手洗いはその次だったと思います。新型コロナは口腔、咽頭から侵入すると素早く体内に入ってしまうらしく、「外から帰ったらうがい」は意味がなさそうです(発熱者や疑わしい人と接触してすぐにうがいするのは効果あると思います)。新型コロナは環境表面でしばらく生きているので、ウイルスがついた手で、顔、とくに鼻や口、目を触ると感染します。人は一時間に23回、顔を触っているという調査結果があります。まず、手洗い、消毒で手についたウイルスを除去することが大切ですが、どうしても何かしらは触ってしまうので、顔を触らないようにするマスクが有用と言われています(その目的では布マスクでも有用)。今まで、学校現場では、手洗いもマスクもそこまで徹底されていませんでした。手洗いや手指消毒の意識・習慣も今ほど定着していませんでした。十分認識され、徹底されている今、ずいぶんと違うのではないかと思っています。

★「三密」対策★
インフルでは「三密」での感染、結構多かった。「週末、室内スポーツの大会があって・・・」とか、「部活があった、部活で遠征した(室内・外のスポーツ関係なく)」「模試があった」とか、休み明けの外来でよく聞いた話です。すべて、密閉、密集、密接が原因です。「三密」というわかりやすい指標・言葉が出て、意識されやすくなりました。これに気をつけるとずいぶん違うと思います。

インフルエンザの流行を防ぐと言いながらも、上記のことがルーズだったから、インフルエンザが毎年流行していたことがよくわかります。つまり、感染対策やっているようで、ザルだったのです。
上記が徹底されれば、まず学校に新型コロナが入ってきている可能性が低くなります(無症状感染者だけということになる)、手洗い、マスクの徹底、「三密」対策で、無症状感染者から出るウイルス量が減り、それを体内に入れるリスク、体内に入ってしまうウイルス量を減らすことができます。そう考えると、そこそこ戦えそうです。
こういうことが「賢く怖がる」ということだと思います。ただただ漠然と巨大な恐怖で包み込むと子どもたちの心の影響が心配です。上記をしっかりやれば、ずいぶんと予防できることを伝え、後は元気いっぱい学校生活を楽しんで欲しいなと思います。
ちなみに日本小児科学会の先日の発表では、新型コロナは、小児の占める割合が少なく、ほとんどが家族内感染であること、学校や保育所におけるクラスターはないか、稀であること、小児は成人と比べ軽症で、死亡例もほとんどないこと・・・などと言われており、とくに幼稚園(保育所)、小学校では感染拡大が起きにくいようです。そうすると、問題は親と学校の先生。親が感染しないように意識して行動すること、学校の先生は体調悪ければ無理せず休むんで(休める環境つくり)、持ち込まないことが大切になります。

ただでさえ、授業が遅れ、一年生はようやく登校となります。なんとか第二波が起きずに、楽しい学校生活が続くことを切に祈ります。

日本小児科学会「小児の新型コロナウイルス感染症に関する医学的知見の現状」(5月20日発表)
200522_小児の新型コロナに関する医学的知見