2021.01.09
コロナの治療は、普通ドライバーにF1ドライバーの技量を求めるようなもの…
東京渋谷の人出、減らないですね・・・街の中、路上が三密・・・そりゃ増えるわな・・・
あんなに多いのは、東京なんかだと、すでに感染して改善した人たちも多いから、「俺、もう感染しないし」って出かけているからですかね?
あと、緊急事態宣言出る前も、出てからもそうだけど、時短や酒の提供、接待を伴う飲食ばかり言ってるけど、あれじゃあ、夜はダメで、昼はいいって気になるんじゃないかな?
だから昼間にあれだけの人が出ている・・・
毎日、コロナであれだけの人が亡くなっています。約1年で4,000人弱の人が亡くなっているけど、若い人にはインパクトないんですかね?
昨春はとにかく皆がビビってたけど、若い人(40歳以下)はほとんど死なないってわかってきて、ビビらなくなったんでしょうね。
コロナに感染し、何とか命をとりとめた、辻クリニック(東京)の辻先生の投稿です。
現在53歳で、年齢的に感染すると悪化の可能性もある私は、息を飲み、背筋を凍らせ読みました。
これでも若い人はビビらないんでしょうが、若い人は是非、太字の箇所は知っておいて欲しいと思います。
「車の運転に例えるなら、普通のドライバーに「運転免許持ってるんでしょ?」とF1ドライバーレベルの技量を求めるようなものです。(中略)医師免許をもっているからなんでもできるわけではありません。」
先日の日記にも書きましたが、周南市においても、市民病院、医師会病院で受け入れ準備を始めました。
全国的にも簡単に病床増やしているように思うかもしれませんが、どこの病院にも“F1ドライバー”がいるわけではないのです。
私の知る限り、山口県内には感染症に長けた花形“F1ドライバー”(超優秀な感染症専門医)はいないと思います。
ですから、市民病院や医師会病院に患者さんが入るようだとまずいんです。
準備したけど、患者さん入らんやった・・・で済まさないとまずいんです。
(基本的に市民病院、医師会病院では、軽症〜しか受け入れませんが、入院患者さんが多くなれば、当然、重症者も増えて、十分な医療体制での医療が受けられなくなる可能性が出てきます。病床は増やせても、F1レベルの医療ができる病床は増やせないのです)
東京都、関東3県に呼応して、多くの流行都市で緊急事態宣言が出されようとしています。
山口県、周南市もそれに呼応して、動きを止め、ちょっと前までのたまに出るレベルにしないと、まずいんだということを知って頂きたいと思います。
一般の方々には今一つ、その辺りが伝わりにくいので、甘く、そして簡単に考えがちだと思いますが、辻先生の投稿を読み、コロナの治療が並大抵ではないことをよく知って頂きたいと思います。
====以下、本文です====
皆様、遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。
年末に「COVID19」に感染し、三途の河の手前で生還しました。
感染源はまだはっきりしませんが、年末の診察時の感染かと思います。その点は、この職業を選択した段階で覚悟を決めております。
当然ではありますが、回復次第、当院クライアントで感染された方・自宅/ホテル待機となって不安な方などの対応に全力で当たらせていただきます。
それにしても、想像を超えた苦痛と恐怖。これは経験者でないとわからないと思います。
1:予防しながらの感染
2:症状ありながらの検査陰性状態時
3:検査陽性になってから保健所とのやりとり
4:自宅待機
5:最前線の現場との対応
6:自宅待機
7:自宅での悪化
8:保健所との再調整
9:救急外来
10:入院
11:悪化
12;ICU
13:人工呼吸器
14:回復傾向
15:人工呼吸器離脱
16:リハビリ/回復期
17:後遺症
という思い浮かぶだけのすべての流れを経験しました。
人工呼吸器まで進み「命を失う可能性」についての話を聞きつつ、多くの医療スタッフの必死の治療のおかげで今文章を書いております。
私は医療従事者です。救命救急の経験者でもあります。
人工呼吸器に繋がれながらも
・呼吸器の設定
・投与薬剤の内容
・肺の状態
・生命リスクレベル
などを冷静に確認し「駄目なら駄目 命が助かったら良い経験として仕事に生かそう」と思ってお任せしていました。
そして、無事生還し、ICU時に思ったこの経験を少しでも共有できたらと思いました。
感染→発症→重症化→回復
世間ではコロナのいろいろな情報が流れておりますが、そのほとんどが間違っているように感じます。
予防について
治療について
保健所対応について
医療体制について
ベッドについて
その多くが「楽観的/希望的」な内容だと思います。
(そうなって当然だと思います)
・予防に必要なこと
・抗原検査の意味
・PCR検査の意味
・検査陰性=非感染者?(全く違います)
・自覚症状は?
・保健所➡︎自宅?施設?病院?
その他、本が一冊できそうなくらいですので、体調が回復しましたら一冊にまとめてみたいと思います。
この感染症の恐ろしさは「ロシアンルーレット」という部分でしょう。
何ともない人/軽症の人には「ただの風邪」
ハイリスクの人に取っては「殺人ウィルス」
です。あっという間です。
私は医療従事者なので、医療側から書かせてください。
この病気の治療は、最後の砦として働く救急医のドクター/スタッフの心身を疲弊させ、蝕みます。
特効薬もなく、正しい治療プロトコールもなく、患者の命の責任を一手に背負いながら霧の中を歩くような治療。「助けて当然」「なぜ受け入れない」とメディアで言われながら物凄いプレッシャーとストレスだと思います。
同じ医療従事者として頭がさがります。
この治療管理には「医者だから」というレベルではなく、細かい救命救急管理が求められます。
車の運転に例えるなら、普通のドライバーに「運転免許持ってるんでしょ?」とF1ドライバーレベルの技量を求めるようなものです。
スーパーカーや戦闘機は工業なので作ることはできます。
しかし、パイロットの養成は容易ではありません。
医師免許をもっているからなんでもできるわけではありません。
もしそれを既存の医師に求めるのであれば、戦時下の医師と同じレベルを覚悟してもらうしかありません。
トリアージです。(すでに始まっています)
自分が運ばれ(それだけでもラッキーです)、どのドクターに担当してもらえるか。
専門医であれば、ラッキーですが、急遽配置換えとなった医師/スタッフではコントロールは困難の極みです。
この感染症は「肺炎球菌」でも「インフルエンザ」でもない「全く新しいウィルス」なのです。
世界の先進国の一流の医療/スタッフが必死で戦っても、勝てていないのが現状です。
「○○が効く」というのではなく「どの薬を/どの薬をくみあわせて/どのタイミングで/どのくらいの量を/どの期間投与するか」によって結果が大きく変わります。(それはどんな病気でも一緒なのですが)
専門医の先生方が、試行錯誤しながら、手厚く/デリケートに積み上げた結果だと思います。
私はその専門医チームの素晴らしいチームワークに命を助けられたのです。
そして、このようなラッキーは二度とないでしょう。
さらに言えば、50才以上の男性で、死にたくなければ「とにかく基礎疾患をなくし、体力を上げること」です。
治療は過酷を極めます。
その治療に耐えるだけの身体能力がなければ無理でしょう。
生活習慣病は「薬で数値が良くなっている(良く見える)」と「薬を飲まずに正常」は似て非なる物、全く別物です。
心身ともに立ち向かえる身体を今すぐ作っていってください。
肺が疲れるので、このあたりにしたいと思います。
本年も、皆様が健康に過ごせますように!
そして、少しでも思考が変わり、いざというときに命が助かりますように!
医療法人社団医献会 辻クリニック
理事長/院長 辻 直樹