2021.11.30
新たな恐怖?「オミクロン株」について_高山義浩先生の記事より
気づいたら1ヶ月、ブログ更新サボってました(冷汗)。
11月は小学校の講演や学会発表などありまして、多忙ではありましたが、ある意味、久しぶりの、そして束の間ののんびりとした幸せ(?)であったとも言えます。
「オミクロン株」…
これでまた緊張が一気に高まってますね。
ほんと、今、日本中が「コロナが終わった!」「克服した!」「コロナに勝った!」ような雰囲気で活動再開しまくっています。
私は先日の小学校の講演で、「第6波は来るのか?」という質問に対して、「新たな変異株の出現や、国内への流入が一番のカギと思う」とお話していましたが、「オミクロン株」の報道を聞いて、「やはり来たか…」と思い、これから小さな火種が入り、その後、山火事が拡がるが如く、再び全国に拡がっていくのかなと心配し、何とか水際で…と思っていたら、岸田首相が素早く「30日午前0時から、世界のすべての国や地域を対象に外国人の新規入国を原則停止する方針」を出してくれたので、とてもよいことだと思っています。
これでももう少し、日本全国が、束の間の“晴れ間”を楽しむことができるかな?
さて、再びコロナの緊張が高まってきたなか(まだまだ緊張感持って生活することは大切)、「オミクロン株」について沖縄県立中部病院の高山義浩先生が、FaceBook(11月29日)、Yahoo!ニュース(こちらは11月30日に掲載されているので、岸田首相の決定にも言及されています)に記載されています。いつもながら、不安が高まり、どう判断し、どう行動すればよいか右往左往の我々の道標となる内容と思いますので、ご紹介させて頂きます。
さて、以下がFaceBook本文です。Yahoo!ニュースはこちら(オレンジの文字)を
Yahoo!ニュース
******************************
南アフリカにおいて新たな変異株が確認されています。WHOは「オミクロン株」と命名し、「懸念される変異株(Variant of Concern)」に位置づけました
オミクロン株について、その正体は十分には判明していません。ただ、30を超える変異があり、とくにワクチンが作用する部位であるスパイクタンパク質に集中していることから、ワクチンの効果を低下させる”可能性”が懸念されています。
さらに、デルタ株が広がっている地域で置き換わったことから、デルタ株より感染力が強い”可能性”も指摘されています。一方、重症度が増したとの報告はなく、特徴的な症状があるとの指摘もありません。
このオミクロン株は、すでに世界に拡大している可能性があります。南アフリカで発見されていますが、周辺のアフリカ諸国などシークエンスを同定している(変異株かどうかを調べている)国は限られています。すでに、アフリカ諸国のほか、イギリス、ドイツなどヨーロッパ、イスラエル、香港でも感染者が見つかっています。
世界的に株価が急落したように、経済は何が起きるかを見通しているようです。残念ながら、現在の日本における検疫は、新たな変異株を阻止する体制にはなっていません。オミクロン株の感染力が高まっていて、世界的に拡大するのであれば、強固な対策を追加しない限り、日本に入ってくることは防げないでしょう。
その場合、12月下旬から1月にかけて国内で拡がるのではないかと思います。とくに年末年始には、帰省など人の移動が活発になるため、地方へと急速に拡がる可能性もあります。今年の冬は長くなるかもしれません。
沖縄県としてできることは、まずは、検査体制を維持・強化することです。とくに、渡航者や渡航者と接点のある人については、抗原定性検査ではなくPCR検査を実施して、シークエンスまで確認することが必要です。早期探知は、対策強化の要と言えます。
いろいろと議論のある3回目のワクチン接種ですが、やはり、2回目から6ヶ月間隔での接種前倒しを準備しておきましょう。すべての高齢者に接種しようとしなくても良いので、せめて、医療・介護従事者、要介護高齢者には接種を検討いただければと思います。
医療・介護従事者への早期接種が求められるのは、高齢者における集団感染のゲートウェイになっているためです。また、職場感染が生じると、容易に人手不足に陥って、医療・介護崩壊の要因となりかねません。
また、要介護高齢者にとって、感染と重症化、死亡は紙一重です。感染そのものをブロックした方がよいのです。重症化しなかったとしても、介護者がケアを続けることが困難となるため、医療機関へと搬送されてきます。入院中に体力が低下して長期入院になることも多く、やはり、医療ひっ迫を加速させかねません。
もちろん、市町村に丸投げしても実現できません。各地区医師会の先生方も、どうか市町村を全面的に支援してください。そして、接種の準備ができた自治体については、接種の前倒しを厚労省は認めていただければと思います。とくに、医療体制が脆弱な小規模離島ですね。
この冬に第6波が生じることは予測されています。結果的にオミクロン株の世界的流行が回避されたとしても、医療・介護従事者、要介護高齢者へと接種を急いでおく意味は十分にあります。むしろ、いまは安全性バイアスに陥らないことが重要です。
最後に・・・
まだ1回も接種を受けていない方は、この機会にぜひ2回の接種を完了してください。最近、当院に入院されてくる感染者の方々には、「きっかけがなくて接種していなかった」と言われる方が少なくありません。そして、苦しい思いをされて、接種しておけば良かったと後悔しておられます。
とくに、年末年始に帰省者を受け入れる予定となっている高齢者の皆さん。ワクチン接種を受けておられないのでしたら、ぜひ、早めに1回目の接種を受けるようにしてください。2回目の接種は3週間後ですから、年末に差し掛かかろうとしています。いまがギリギリのタイミングです。周囲からの声かけ、きっかけ作りもよろしくお願いします。
Nature NEWS, 25 November 2021.
https://doi.org/10.1038/d41586-021-03552-w
国立感染症研究所:SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統について(第1報) 2021年11月26日
https://www.niid.go.jp/niid/images/cepr/covid-19/b11529.pdf