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院長日記

2022.07.04

徳山中央病院研修医清水先生の地域医療研修レポート

地域医療研修を終えて
※上のオレンジの文字をクリックすると清水先生のレポートが見れます
※先生には許可頂いています

長ぁ〜らくブログ更新しておりませんでした。
3月、4月と本当に色々ありませして、余裕がありませんでした(恥)。
6月から徳山中央病院の地域医療研修のため当院にて4週間の研修をされた清水雅大先生(研修医2年目)が、感想を書いて下さいました。
クールな表情の奥に熱いパッションを持ち、頭もセンス(センスは医療的なもの)もとてもいい先生で大活躍して頂きました。
さて、文章内にあるように4週間の研修期間中、ご自宅での看取りとなられた方が4名おられました。
先生の文章にあるように、私にとっても学びの多い皆さんでした。
①認知症の女性。ご主人が2年前に亡くなり、その後は一人暮らしで、息子さんは東京。お嬢さんは広島でした。ヘルパー、デイサービスを利用し、夜はカギを掛けて、監視モニター設置していました。お嬢様とは医療用SNSで、我々と連絡を取りながらサポートしていました。ヘルパーさんが本当によくやってくれたからですが、進行した認知症の方でも、独居でも、ご家族が遠方でも、在宅療養を支えることができることを教えて頂きました。最後はやや急でしたが、前日はお嬢様が来られ、当日も半年前から同居されていた息子さんがあまり心配されることもなく穏やかに逝かれました。きっと、隣のベッドのご主人とそっくりな等身大の人形(お嬢様作)が守ってくださり、天国のご主人が優しく天にお招き下さったのだと思います。
②認知症で、昨年より誤嚥性肺炎を繰り返していた男性。だんだんと弱っていかれてました。立派な家、素敵な庭から気持ちのよい5月の風が流れるお部屋でした。奥様のお料理がさぞかし美味しかったのでしょう。最後は食べると痰も多くなったりしていましたが、少しながらでも最後まで食べておられました。奥様が一人で介護されていましたが、3人のお嬢様が帰ってこられ、最後は最愛の女性4人に介護され、見守られながらの穏やかな最後でした。いやぁ〜男としてはこれ以上の最後はないなと思いました。
③重症心不全の男性。「〇〇したい!」という自我が強い人でした。こういう方にはしばしば引こずられ、振り回されます。でも、必死でついていくのが仕事でもあります。水も飲みたいし、食事も食べたいから、むくみもとんでもなく出ることもあり、体重の増減も多かった。利尿剤は最大限でした。最近、少し不安定さが増し、そろそろの兆しかな?と思っていた矢先でした。朝、朝食後にそのまま車椅子で亡くなっていたと連絡がありました。駆けつけると、テーブルにはトロが一貫残った握り寿司のパックがありました。大好きなお寿司を食べて大満足なのか?最後に食べようと残していたトロが心残りなのか?はわかりませんが(笑)、こういう最後も、本当に精一杯生ききった末の最後だなあ〜と思いました。
④大腸癌の女性。約2年前に進行大腸癌と診断、手術はできませんでした。余命数ヶ月と思われ、そのまま入院しておられましたが、約1年、思いの外安定しておられたので、昨年末にお嬢様が自宅介護を決意されました。お嬢様はとっても生真面目で、色々気にされる方で、「そんなに気にして大丈夫かなぁ?」「おそらく自宅で看取るのは無理だろうな?」と思うほどでした。食欲がある方で、お嬢様の手料理をいつも美味しそうに食べておられました。最後は認知症も進み、食べたことを忘れることを悲しがられたり、食べる量も徐々に減ったことを心配されながらでしたが、ご立派にお母様を看取られました。本当に穏やかな表情でした。長い入院から自宅に戻られたときの表情を思い出しました。
4人の方に共通しているのは、住み慣れた生活の場で、精一杯、生き、暮らした先のゴールだなぁということです。本当に人間らしい生き方、最後の迎え方だと思いました。
清水先生の言葉を借りれば、その命、死が本当に尊いし、その方の命を慈しむご家族の思いも本当に尊いなと思いました。
清水先生のレポート、とても素晴らしく、思い出しながら涙が出ました。
これから、数多くの生と死を経験されると思います。その全てが患者さんが教えて下さることです。
このたびの多くの患者さんから教えて頂いた経験を、今後に活かし、素晴らしい医師に成長して頂ければと思います。