2025.03.11
在宅医療に対する私の考え
日本在宅医療連合学会の認定医の資格を取ろうと書類作成し、申請しました。
急遽思い立ったので、短期間でまとめるのは大変でしたが、「在宅医療に対する私の考え」と「30症例の経過と考察」をまとめました。
30症例は、皆さん、思い出や考えるところのある方々だったので、少し編集もし、このブログで少しずつ掲載してみようと思います。
まずは、申請書類の「宣言書」。「宣言文として、在宅医療に対する貴方の考え方を800字程の文章にまとめて下さい」とあり、私の考えをまとめました。
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在宅医療は、来院が難しくなった方々に対し、こちらから出向いて診療を行うものです。
多くの方が、病状は落ち着いているものの、来院が難しいという状況です。
在宅系の医療・介護職種が、その方の暮らしを支えてくれていますので、医者の役割はほとんどありません。
しかし、医者が行かなければ、いなければ成り立たないのも医療です。なので、医者がご自宅に行けば、その方の「自宅で(医療やケアを利用しながら)過ごしたい」という思いを叶えることができるので、「来て」と言われれば、「どこでも行く」というのが基本方針です。
ご自宅で過ごされる方の希望は、「自宅で(最後まで)過ごしたい」だと思います。
その希望を叶えるためには、まず、日々の体調管理による状態維持、急変回避が必要です。しかし、在宅医療を受ける方の多くが、人生の最後も近くなっている方々なので、自宅で最後まで過ごせるよう、条件を揃えていく必要もあると思います。
私は飛行機をイメージして考えますが、徐々に高度を下げていくよう(いけるよう)、医療を上手に利用することだと思っています。
「医療を上手に利用する」と書きましたが、「上手に手控える(追加するだけの医療は手控える)」イメージでしょうか?
急降下や墜落をできるだけ避ける必要もあると思っています。
しかし、単純に医療を手控えると、家族は心を痛めます。また、家族は基本的に「少しでも長く」と思い、一方で「できるだけ楽に」とも思われます。
ですから、医療の塩梅を考えながら、高度を緩やかに下げていく中で、ご家族の行為や思いを肯定してあげながら、不安・後悔をできるだけ軽減し、最後、ご本人はできるだけ穏やかに(緩やかな着地)、そして、ご家族は「よくやった」「親孝行できた」と満足できるよう他職種と力を合わせてマネジメントするのが在宅医の役割と考えています。